大学編入,大学編入学

大学編入学・大学への道のりは一つじゃない!編入試験受験について

大学編入学とは

大学編入学とは、短期大学や専門学校、高等専門学校などで学習してから、大学に途中年次から入学する方法です。専門学校から大学に編入学することができれば、専門学校で学んだ知識を深めながら大学卒業資格を得ることにもつながるので、キャリアアップなど、将来への投資になることは間違いありません。また、他の分野に進むにしても、一般入試で大学を目指すよりも低い倍率になることが多く、入りやすいというメリットがあります。ただ、他の分野に進むことは、それなりに難しさがあることも事実です。編入学のあと、専門的な内容をすでに身につけている生徒たちと共に学習するためには、努力が求められます。
大学への編入学は、普通は3年次への編入となります。大学や学部、学科ごとに受験資格は異なりますので、条件を満たさなければ受験することすらできません。そのため、大学編入学を希望する学生は、専門学校等に在学中から幅広く情報収集し、自分が希望する分野で安定して編入学試験を行っている大学を候補としてピックアップ。オープンキャンパスなどの機会を提供している大学があれば、積極的に参加してみましょう。ここからは、大学編入学試験について、その受験資格や対策なども含めて説明していきます。

大学編入学試験について

大学編入学試験は、ご紹介したように、通常は3年次への編入を目的として試験を行います。ただ、大学の判断により、2年次に編入される場合もあります。これは大学の判断基準によりますが、多くの場合、専門分野の学習経験が考慮されています。大学編入学試験は、大学により受験資格が異なるため、医学部などの高等な知識が要求される学部では、大卒や大卒見込みの学生に受験資格を限定する場合もあります。ただ、一般的には、4年制大学にて2年次までの課程を修了した学生、短期大学、高等専門学校、専門学校を卒業した学生や卒業見込みの学生に受験資格が与えられる試験です。
多くの場合、編入学試験では専門科目と語学、面接の各試験が行われます。

大学編入,大学編入学

大学によっては編入学に際し「推薦枠」を設けている場合もありますが、系列の短期大学や高等専門学校に対しこの制度を適用することが多いようです。また、編入学試験は一般入試とは性格の異なる試験なので、毎年、定期的に行われるわけではないことに留意する必要があります。

大学編入学試験、一般入試との違い

大学編入,大学編入学

大学編入学試験が一般入試と大きく異なる点は、定期的に安定して開催されるわけではない、ということです。
大学編入学試験は、欠員を補充することが大きな目的なので、その状況によっては極端に募集人数が少なかったり、試験自体が行われなかったりすることもあるのです。そのため、大学への編入学を考えている学生は、常に希望する大学の動向をフォローし、必要であれば代替え策も考えておくべきでしょう。
大学に編入するということは、すでに在学している学生とは、身につけている知識に差があることを意味します。そのため、大学編入学試験においては、学部や学科の専門分野の知識が出題されます。あまりにも他の学生と知識の差があっては、授業についていくことも難しいですし、本人にとっても辛いことでしょう。

当然ながら、試験の難易度は難関になればなるほど上がり、大学で学ぶ専門的な内容も出題されます。難関大学への編入学を目指すのであれば、やはりそれなりの努力をして、授業についていけるだけの学力を身につける必要があります。
ただ、大学編入学試験で難しいのは状況への対応です。一般入試なら毎年、募集要項に大きな変更があるわけではないので、準備もしやすいのですが、編入学ではそうはいきません。編入学試験は、一般入試とは違い、情報量が少なく、準備がしにくいのです。これに対応するには、短大や専門学校在籍時から、時間をかけて学力を上げることと、常に目指す学校の情報収集をすることが求められます。

大学への編入学年

大学へ編入学する場合、3年次への編入が一般的なのはご説明したとおりです。もう少し詳しく説明すると、中には2年次や4年次に新たな学生を入れる大学もあります。3年次編入試験とは異なるテストを開催する大学もありますし、3年時編入試験の結果を基に編入する学年を決めている大学もあります。この判断については、各学校独自の基準があるので一概には言えません。そのため、大学編入学試験に出願する場合は、受験する大学の審査基準についてのリサーチは欠かせません。

受験資格について

大学によって編入学試験の受験資格は異なります。しかし、多くの大学が以下のような条件で募集しているので参考にしてください。

  • ・専門学校(総授業時間数1700時間以上、修業2年以上)を卒業した学生
  • ・大学1、2年次を修了した学生、もしくは修了見込みの学生
  • ・高等専門学校を卒業した学生
  • ・4年制大学を卒業した学生
以上はあくまで一般的な受験資格で、出身学科を限定する場合や大学の卒業者(もしくは卒業見込みの学生)だけに限定される場合ももちろんあります。

受験志願者の内訳

大学編入学試験を受験する人のほとんどは、現在、大学に通っている学生、そして専門学校や高等専門学校で学んでいる学生たちです。専門学校や高等専門学校で専門的な知識をある程度身につけた上で大学に進学するルートは、学生によっては、高校から直接進学するよりもプラスに働く可能性もあるでしょう。大学で学習してから難関大学へステップアップを目指す学生が増えていることからもわかるとおり、大学で学習する道のりは多様化しています。以前よりも選択肢が増えたことは、学生にとって大きなメリットになっていると考えるべきでしょう。ただ、より専門的な知識が要求される大学編入学試験は、一般入試よりも難易度が高いと言われています。倍率上は一般入試よりも入りやすいとされる編入学試験ですが、すでにお話ししたように、時間をかけて基礎学力を強化していくことが大切です。

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大学編入学試験の入試時期について

一般入試とは異なり、試験の時期が特に決まっていないのが編入学試験です。しかし、ある程度の目安はあります。文系の学部、学科では9月頃から編入学試験を行うところが多いようですが、理系や医学部はそれよりも早い時期に行うことが多いようで、6月頃から試験を行います。もちろん、志望する大学や学部により、目安とは異なる時期に行われる場合もありますので、大学のソーシャルメディアなどは必ずチェックしておきましょう。

大学編入学試験の入試科目

大学編入学試験は、一般的に語学(英語)、専門科目、面接により行われます。そのため、どんな専門を目指すにしても、英語の勉強は怠れません。ただ、専門分野により出題には傾向があるようです。

語学(英語)の傾向と対策

語学の試験は、専門分野により出題に傾向があり、特にその分野の内容に合った設問が好まれるようです。

長文読解
長文読解が中心となるテストで、英作文、部分訳、穴埋め、などの形式がとられます。文学系の学部では、この長文スタイルが一般的。また、私大の社会科学系学部などにも好まれるスタイルです。
専門分野に関する内容
学部、学科の専門分野に関する内容で行われる英語の試験です。翻訳、説明する能力が問われることになります。このタイプの試験は、法学部や経済学部などに好まれることが多いようです。
一般入試タイプ
大学編入学試験では珍しいのですが、一般入試のように英語の総合力を問うテストを行う大学もあります。国立大学の文学系の学部に好まれるスタイルで、語彙力、長文読解から発音、文法、長文まで、総合的に出題されます。

大学編入学試験における語学の試験では、ほとんどの大学で長文読解が採用されています。そのため、日頃から長文に慣れ親しんでおくようにすることは言うまでもありません。法学部や経済学部を目指すのであれば、ある程度専門的な英単語を覚えておく必要があるでしょう。TOEICやTOEFLなど、外部団体のスコア提出を求める大学は最近、増える傾向にあります。編入学試験対策の一環として、これらのテストを定期的に受けてみてもいいでしょう。

専門科目の傾向と対策

専門科目は、大学の授業レベルについていけるかどうかを量る目安になります。専門分野に関する基礎は必ず出題されるので、まずは基礎を固めることが対策となります。
専門科目の試験対策として、基礎以外に知っておきたいのがテストの出題傾向です。専門ごとにまとめてみましたので、チェックしてみてください。

経済・経営
経済系の学部では、分野の基礎的な内容の設問に加えて小論文を書くことが求められる問題が出される傾向にあります。特に時事問題に関する小論文が多いので、ニュースやソーシャルメディアは必ずフォローしておきましょう。
法学部
法学部の試験は、憲法や民法に関する知識の他、法学の基礎を問う内容になることが多いようです。
外国語、文学部など
小論文形式の設問が頻出するのが、外国語学部や文学部の特徴です。外国語学部では、小論文に加えてリスニング、作文などが行われることもあるので、志望校のテストに関する情報収集は欠かせません。
教育学部など
教育に関する時事問題をテーマにした小論文が、教育学部のテストでは頻繁に出題されます。
理工系学部
理工系の学部では、専攻科目の基礎は必ず出題されます。「数学」と「物理」は工学系では必ず出題されますので準備は怠れません。一般的に理学系の学部の試験は、工学系の学部の試験よりも難易度は高いとされています。
医学部など
医学部で頻出するのは小論文です。しかも英語の能力が問われる出題が多いので、専門用語の中でも基本的なものは英語でも覚えておく必要があるでしょう。
農学部
農学部では、やはり生物や化学の基礎的な知識を問う問題が出されます。大学によっては小論文を課す場合もあります。

大学編入学・合否を左右する試験対策

大学への編入を目指す上で、合否を左右する試験対策をまとめてみました。

面接への対策

面接は大学編入学試験で大きなウエイトを占めます。面接では志望理由を問われますが、この志望理由については、出願の時に提出する「志望理由書」に沿っていなければなりません。志望理由書の内容と面接での話に矛盾がないよう、準備は万全にします。志望理由書は、簡潔に、わかりやすく書きます。読む人の立場になって、書くことが大切です。志望理由書に記すべき内容は以下のようなものです。

  • ・志望動機
  • ・長期的なビジョン、研究したいテーマなど
  • ・この学校で学ぶべき理由
  • ・将来の展望
志望理由書には、以上のような内容を記入することで、大学へのアピールとします。大学側は、受験者がどんな動機を持ってここで学びたいのか、なぜここで学ぶ必要があるのか、そして将来的な展望を持っているかどうか、を知りたがっています。これらを専門的な内容と関連付けて記入しましょう。そのため、大学や志望する学部に関する情報収集は欠かせません。インターネットなど、情報ソースをフル活用しつつ、大学側が開催するイベントなどがあれば、雰囲気を知るために参加してみてもいいでしょう。
もしもこれまでに学んできた分野とは異なる分野での学習を志望する場合は、「なぜこの分野に興味を持ったのか?」という内容も志望理由書に書いておきましょう。
志望理由は、将来的な展望を持って書く必要があるので、大学の偏差値やステータスは関係ありません。あくまでもこの学校で勉強しなければならないという気持ちを、シンプルな文章で書くことが大切です。
面接本番では、すでにお話ししたように志望理由書と矛盾がないように準備をします。志望理由書をベースにして、本番で想定される質問を考え、シミュレーションしてみましょう。どんな面接においても言えることですが、緊張してしまうのは仕方のないことです。緊張から言いたかったことを言えなかった、と言うことはよくあります。しかし、準備をしておけば、たとえすべてを言えなかったとしても、うわべだけの美しい言葉を並べるよりも面接官にアピールすることができるでしょう。
面接においても専門分野の知識について質問される場合はあります。このような場面であわてないようにするためには、日頃の勉強と情報収集が鍵になります。

小論文対策

すべての学部や学科で行われるわけではありませんが、大学編入学試験においてよく課されます。そのため、試験に小論文が出される傾向がある学部や学科を受験する場合は、しっかりと対策しておきましょう。
小論文は主に「理論」と「時事」の2つのタイプに分けられ、その両方、もしくは片方が問われます。
理論を問う小論文への対策は基礎固めしかありません。基本書を1冊通して読み、その内容をまとめたノートを作ってみましょう。とにかく分野の基礎となる内容を身につけることが、理論を問う小論文攻略の早道です。
時事を問う小論文への対策は、基本的には、その分野に関連する時事ニュースをフォローすることになるでしょう。入試問題のソースになりやすい出版物(日本の論点など)に目を通しておくことも効果的です。

大学編入,大学編入学

小論文は構成が命です。小論文でよく用いられるのは、「序論」「本論」「結論」の3段構成になります。

序論
序論では、問われているテーマを定義し、テーマに存在する問題を提起します。読者を引きつけ、本論へとスムーズにつなげる役割を持つパートです。
本論
提起した問題を詳細に分析していくパートが本論です。規定の範囲内に収めるのは当然のことですが、長くなる場合は、何段かに分けて書いてもOKです。
結論
将来的な視野を織り交ぜながら、これまでに書いてきた内容をまとめます。

「序論」「本論」「結論」で構成される小論文は、今後、大学に入学してからも頻繁に使うスタイルになるため、今のうちに書き方を覚えておくといいでしょう。理系の学部や学科では、計算問題を小論文の中で解くこともあります。


大学で学ぶ方法は一般入試で合格する方法だけではありません。専門学校などから進路変更する方法もあります。毎年、実施要項に変化があったり、場合によっては行われないことがあったりしますが、大学で学習して、分野の高等な知識を身につけたい学生にとっては、大学編入学試験は有力なルートです。


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